Last Update 2018.3.1
       
  ●切符のメッセージ: 切符が発信する情報量は多く,当時のことを想うことができます。

大阪から天王寺・片町行き矢印式A型乗車券  3等 10銭     1941年/昭和16年2月2日 大阪駅発行

   この切符は,戦前1941年/昭和16年2月2日発行の大阪から天王寺・片町までの矢印式A型乗車券です。
   当時,大阪環状線は開通しておらず,
   この乗車券は,大阪駅から城東線(大阪-天王寺)で天王寺駅まで,
   あるいは,城東線の京橋駅乗換え片町線の片町駅まで有効な切符です。

   乗車券には,○○から○○ゆきの一般式,矢印式,地図式,金額式があります。
   国鉄では,矢印式乗車券は昭和初期に登場しました。
   矢印式は発駅と着駅を示す明快な表示ですが,日本独自方式で海外の乗車券には見られないそうです。

   矢印式乗車券は,最初,京浜地区の電車区間に使用されました。
   このときは,A型(サイズ 3×5.75cm)ではなく,B型(サイズ 2.5×5.7cm)乗車券として採用されました。
   その後,矢印を両矢(←→)にしたものが主流になりました。
   当時の京浜地区では,
   5銭,10銭区間は地図式乗車券,それ以外の区間に両矢印式乗車券が使われました。

   大阪地区でも,昭和初期から矢印式乗車券が使われました。
   運賃共通の着駅が2つ以上ある場合は,両端の駅を併記していました。
   そのため,共通着駅区間内下車前途無効と記載されています。
   この表示方法は,昭和20年改正で,1方向の最遠駅だけの記載に変更になりました。

   なお,2方向にまたがる場合は,当時からこの乗車券のように,各方向の最遠駅を併記しました。

   戦前中の乗車券から,乗車券の進化を見ることができます。

 

矢印式A型乗車券

鶴橋から大阪・片町行き
3等
10銭

1935年/昭和10年8月28日
鶴橋駅発行

矢印式A型乗車券

六甲道から灘・三ノ宮行き
3等
10銭

1943年/昭和18年1月18日
鶴橋駅発行