Last Update 2011.9.1
       
 
懐中時計と言えば,
国鉄の運転士や車掌,駅員が,
時間を懐中時計で確認するシーンを想い出します。

運転士は,運転台に置いた懐中時計で,
時間を確認して電車を運転します。

鉄道時計の多くは,裏蓋に製造年(支給年)や
会社名・所属などが刻印されています。

この懐中時計は,1961年/昭和41年に 
国鉄・北海道総局の運転士らに支給されたと思われる
機械式・鉄道時計19 SEIKOです。

鉄道時計19 SEIKOは,
1929年/昭和4年に,当時の鉄道大臣 江木翼が,
米国,スイスなどの外国製の鉄道時計に替わって
採用した国産鉄道時計です。

19 SEIKOは,高い精度を誇り,
1929年/昭和4年から1971年/昭和46年まで,
精工舎(SEIKO)が生産した機械式懐中時計です。

戦時中は,鉄道以外にも,軍需品に指定され,
零戦など航空機や戦艦,戦車に搭載されました。

民間向け懐中時計に較べて,
サイズが直径5cm近くと大きいことから,
その規格(16サイズ/19型)から
19 SEIKOと呼ばれるようになりました。


製造期間は40年以上に亘りますが,
デザインは,ほとんど変わりませんでした。
文字盤の字体や針の色などにバリエーションがあり,
最初は7石のみでしたが,後に15石が加わりました。

19 SEIKOは,国鉄や多くの鉄道会社に採用され,
クォーツが主流になる昭和50年頃まで,
我が国の鉄道の運行を支えたツールでした。
  この懐中時計は,1988年/昭和63年に,国鉄・四国の運転士らに支給されたと思われる
  クォーツ式・鉄道時計です。 電池で,約10年間作動します。