Last Update 2011.12.1
       
撮影 1979.4.1 〔紀勢本線〕


   腕木式信号機は,支柱上部の羽子板のような長方形の板(腕木)の角度で,停止,進行を示す信号機です。
   操作は人の手による場合がほとんどで,駅や信号所にある信号梃子という大きなレバーで,
   梃子から伸びるワイヤーとロッドを通して,信号機本体の腕木の位置を変える仕組みになっています。

   腕木信号機には,腕木が赤色に白帯の “出発信号機(長さ900mm)” ,“場内信号機(長さ1200mm)” と
   ここに紹介する腕木が三味線のバチのような形をした黄色に黒帯の “通過信号機(長さ900mm)” があります。

   赤色の “出発信号機” ,“場内信号機” は,
   腕木が水平であれば 停止(赤),斜め下45度に傾いていれば 進行(青)を指します。
   羽根の根元には,羽根の運動にあわせて動く色つきレンズが取り付けられており,
   光源を背後に固定することで夜間でも視認できました。

   黄色の腕木の通過信号機は,出発信号機の予告をする信号機で,
   場内信号機の下に取付けられ,注意と進行を示します。
   腕木が水平であれば 注意(黄),斜め下45度に傾いていれば 進行(青)を指します。
   通過信号機は,急行など通過列車が運行されている路線に設置されました。

   昭和の初め,主要路線から腕木式信号機は色灯式信号機に置き換えが始まりましたが,
   国鉄時代のローカル線では多く見ることができました。
   JR後も,いくつかの路線で残っていましたが,
   信号を操作する人員が必要なことや安全保安上の観点から次々に廃止され,
   2005年八戸線での使用を最後に,JR線から腕木式信号機は消滅しました。