Last Update 2011.6.1
       
  ●切符のメッセージ: 切符が発信する情報量は多く,当時のことを想うことができます。

  この切符は,1953年/昭和28年4月24日,近鉄名古屋駅発行の特急券と乗車券です。
  特急券は,近鉄名古屋12時00分発車の特急“かつらぎ第3号”,座席は い車32号が指定されています。
  乗車券は,近鉄名古屋 から 伊勢中川経由 大阪上本町行きです。

  近鉄(近畿日本鉄道)の前身である大阪電気軌道,参宮急行電鉄,関西急行電鉄は,
  1938年/昭和13年に,各社の路線を連絡して,江戸橋乗換・大阪-名古屋のルートを開通させました。
  その後,戦争により,特急は廃止されましたが,
  1947年/昭和22年,伊勢中川乗換の大阪上本町-近鉄名古屋を結ぶ座席指定制有料特急の運転を開始しました。
  大阪上本町-伊勢中川の特急は“すずか”,伊勢中川-近鉄名古屋の特急は“かつらぎ”と命名されました。
  大阪上本町-近鉄名古屋を,1949年/昭和24年に3時間25分,1950年/昭和25年には3時間9分で結んでいます。

  1952年/昭和27年には,大阪上本町-宇治山田に5往復,伊勢中川-近鉄名古屋に4往復の特急を運転しています。
  午前に大阪上本町,近鉄名古屋を発車する特急を それぞれ “すずか”,“かつらぎ” とし,
  午後に発車する特急を“あつた”“なにわ”にしました。このとき,名阪間は2時間55分で結ばれています。

  この切符の発行年,1953年/昭和28年には,特急用電車として,2250形,6421形が新製投入され,
  大阪上本町-宇治山田,伊勢中川-近鉄名古屋の特急は,それぞれ6往復に増発されました。
  当時,この切符で,真新しい特急電車に乗車して,名古屋から大阪に向かったことでしょう。

  その後,1958年/昭和33年に,特急用電車 “ビスタカー”が投入され,今日の近鉄特急に発展しました。

 

特別特急券

上本町発8時15分 近鉄四日市まで
第3号車 座席5番

上本町駅1966年/昭和41年9月3日発行
300円

特別特急券

宇治山田発16時01分 上本町まで
第1号車 座席37番

宇治山田駅1967年/昭和42年2月24日発行
250円

特別特急券

名古屋発16時00分 上本町まで
第2号車 座席19番

近鉄名古屋駅1968年/昭和43年9月20日発行
300円

乗車券

宇治山田から真菅経由 上本町行き

宇治山田駅1965年/昭和42年2月24日発行
通用発売日共2日
500円

●回数特別特急券 200円区間

 昭和50年10月13日まで有効(3か月間)
 11回 2000円
 上本町駅1975年/昭和50年7月14日発行





●硬券から横型大型軟券へ

 1960年/昭和35年に,
 特急座席予約システムが導入されました。
 しかし,端末機に発券機能は無く,
 窓口の係員が,特急券に
 座席の号車番号を転記していました。

 大阪万国博開催の1970年/昭和45年には,
 汎用コンピュータによる
 特急座席予約システムが稼働し,
 端末から発券されるようになりました。
 特急券はレシート様の横大型軟券になり
 硬券は消えました。

    ↓   ↓   ↓

 横型大型軟券〔乗車券+特急券〕

 名古屋から上本町まで
 乗車日 20日 18時30分発 1号車 27番
 900円
 1970年/昭和45年5月20日 名古屋駅発行