Last Update 2020.6.1
       
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大阪電気軌道の拡大
大正15年8月竣工 大軌ビルディング・大軌上本町ターミナル

  私は1968~71年,大軌ビルディング: 近鉄/上本町駅を乗降して高校に通いました。
  このとき,近鉄難波線の工事に併せて上本町駅の改装が進められ,
  大軌ビルディングは解体,1973年に新駅ビルが完成しました。

  大阪電気軌道は,大正末期から昭和初期に奈良盆地内の路線網を拡張,
  伊勢進出を目論んでいました。
  大正15年/1926年に竣工した大軌ビルディングは,
  当時の大阪電気軌道の勢力を誇示する威風堂々としたビルディングでした。

  大阪電気軌道は昭和2年に参宮急行電鉄を設立,
  昭和5-7年に,桜井-参急中川-宇治山田,参急中川-津を開業,
  昭和7年には,日本最大級21mの長距離用電車2200系を投入し,
  上本町-宇治山田を2時間1分で走破する特急運転を開始しました。
  昭和11年に伊勢電気鉄道を合併,
  同年,関西急行電鉄を設立して,昭和13年に名古屋乗入れを実現しました。
  上本町-名古屋を大軌・参急・関急電3社接続し3時間15分で結びました。
  大軌ビルディングは,名古屋,宇治山田,奈良への起点ターミナルでした。

  その後も,精力的に電鉄会社の吸収合併を繰り返し,
  2府4県に跨る,路線網500kmを超える大私鉄・近畿日本鉄道に成長しました。
  なお,戦時期の交通統制により
  1944年に関西急行鉄道と南海鉄道の合併により近畿日本鉄道が設立しましたが,
  戦後1947年に南海電気鉄道を分離して,現在の近畿日本鉄道が誕生しました。
  
  近畿日本鉄道の路線において,大阪電気軌道が自ら建設した路線は,
  上本町-大軌奈良(31km),大和西大寺-橿原神宮(24km),布施-桜井(36km)などで,
  全路線長の1/5程度でした。

  大阪電気軌道は,電鉄会社の吸収合併により鉄道省の許認可体制をかわして,
  日本最大の広域路線網を実現した鉄道会社でした。

大軌から近鉄へ   ( )内は,現行近鉄路線
参宮急行電鉄建設時の大阪電気軌道・沿線案内の路線図
昭和2~5年/1927~30年
関西急行鉄道時代・沿線案内の路線図
昭和16~19年/1941~44年