Last Update 2008.9.1
     
      大軌1400形


  1400形は,近畿日本鉄道の前身である大阪電気軌道が,1939年/昭和14年に製造した電車です。
  戦中・戦後の混乱期を生き抜き,通勤列車から荷物列車に運用され,1983年/昭和58年に廃車になりました。

 
【1400形の誕生】
  1940年/昭和15年は,皇紀2600年にあたる年であり,
  大阪電気軌道が橿原神宮輸送のため,1400形21輌を1939年/昭和14年12月に日本車輌製造本社で新造しました。
  一方,参宮急行電鉄も伊勢神宮輸送のため,新2200形 26輌を日本車輌製造本社で,新造しました。
  1400形と新2200形は,窓配置・座席配置は違いますが,車体の基本設計(車体・機器・台車)は共通しており,
  走行性能,スタイルは同じでした。

 
【1400形の履歴】
  戦中,戦後の混乱期を生き抜き,大阪線の区間運転の準急列車,普通列車に運用されました。
  高性能車への置換えが進んだ1974年/昭和49年に,10輌が解体されました。
  このころから,1400形は,鮮魚列車,荷物列車として運用されました。
  1976年/昭和51年に,電動貨車モワ10形,クワ50形に改番されました。
  これらの車輌も1983年/昭和58年には廃車になりました。

 
【近鉄小史】
  近畿日本鉄道の前身である大阪電気軌道は,1914年/大正3年に,大阪−奈良を開業しました。
  1927年/昭和2年に天理・橿原神宮方面の路線網を確立し,
  同年に参宮急行電鉄を設立し,1931年/昭和6年に宇治山田まで開通しました。
  その後,伊勢電気鉄道を吸収し,関西急行電鉄を設立しました。

  戦時中の陸上交通事業調整法により,大阪電気軌道は,参宮急行電鉄・関西急行電鉄などを統合して,
  1940年/昭和15年,関西急行鉄道として再編されました。
  1944年/昭和19年,南海鉄道と合併して,近畿日本鉄道が発足しましたが,
  1947年/昭和22年,南海電気鉄道が分離し,近畿日本鉄道は,旧関西急行鉄道網を復して,現在に至っています。


 参宮急行電鉄が製造した長距離用電車が新2200形です。
 新2200形は,大阪電気軌道1400形と同時期の
 1939〜41年/昭和14〜16年に26輌が登場しました。

 2200形電車は,最高速度110km/h,
 青山峠を60km/h以上で登坂・降坂できる性能の
 戦前の傑作電車として人気があります。

 戦後,1947年/昭和22年,一部の2200形が整備され,
 大阪線有料特急に運用されました。

 基本設計は,大阪電気軌道1400形と同じであり,
 精悍なフロント・マスクは,同じです。   
  
*Photo画面をクリックすると,大画面でご覧いただけます。
   前照灯2灯時代の1400形

   長編成化から
   1401〜1410が片運転台化されましたが,
   このときに発生した前照灯を利用して
   2灯化されたことがありました。
   その後に 
   シールドビーム2灯化されました。

   準急列車
   1410ほか

   撮影 1972年 久宝寺口
   1400形 準急列車

   1400形は,3輌編成で
   大阪線の区間運転の
   準急列車,普通列車に運用されました。
  
   上り上本町行き準急列車
   1414ほか3輌編成

   撮影 1973年 大和高田
   1500形先頭の鮮魚列車

   1400形は,
   モ1400形 16輌とク1500形 5輌の
   計21輌が活躍しました。
   1500形の撮影機会は,
   多くありませんでした。

   上り鮮魚列車回送
   河内山本通過
   1502ほか4輌編成

   撮影 1975年 高安−河内山本
   高安車庫に待機する1400形
   
   朝 大阪上本町に到着した鮮魚列車は,
   高安車庫に回送されます。
   ここで,夕方の運用を待ちます。
   夕方,大阪上本町に回送され,
   松阪に出発していきます。
   大阪上本町−高安では,
   朝夕2往復の鮮魚列車・回送列車を
   撮影できました。

   1412ほか4輌編成

   撮影 1975年 高安車庫
   1400形の荷物列車

   高性能車への置換えが進んだ
   1974年/昭和49年頃から
   1400形は荷物列車として運用されました。
   1976年/昭和51年に,
   電動貨車モワ10形,クワ50形に
   改番されました。

   1408ほか2輌編成

   撮影 1974年 東青山
   1400形の解体現場

   1974年/昭和49年に
   1400形片運転台の奇数番号車
   1401,1403,1405,1407,1409と
   1402,1416,1503,1504,1505
   の10輌が解体されました。

   1403解体

   撮影 1974年 高安
   モワ10形鮮魚列車

   1400形 9輌は電動貨車モワ10形に,
   ク1500形 2輌はクワ50形に
   改番されました。
   これらの車輌は,
   1983年/昭和58年に廃車になりました。

   下り鮮魚列車回送
   鶴橋通過
   12ほか4輌編成

   撮影 1976年 上本町−鶴橋