Last Update 2009.12.1
       
     151系特急
この砲弾型・前照灯は,
ボンネットタイプの特急電車・先頭車の
運転室上部に付けられた前照灯です。

前照灯の内部に,Tc151-1と書いてありました。
Tc151-1は,こだま型特急電車クハ151-1です。

1958年/昭和33年9月に,8両編成・3編成 24輌の
こだま形特急電車20系が誕生しました。
クハ151-1は,川崎車輌製 8輌編成
〔クハ26-モハ20-モハシ21-サロ25-サロ25-モハシ21-モハ20-クハ26〕
のうち,クハ26001として落成しました。
翌年,車輌称号規程制定でクハ151-1になりました。

これら24輌の20系特急電車により,
11月1日,東京−大阪・神戸間に
特急“こだま” 1往復が営業を開始しました。

この前照灯は,製造銘板に記されているように,
1958年/昭和33年7月 小糸製作所の製造です。
前照灯の製造時期が,
クハ151-1の落成と一致しますので,
この前照灯がクハ151-1のものであると期待します。

左の写真は,
ボンネットタイプの特急電車485系です。

運転室の上部には,
両脇に予備笛を付けた前照灯が装備されています。

このタイプの前照灯が,
151系にも,取り付けられていました。
ただし,1958年/昭和33年に登場した
クハ151-1(クハ26001)は,前照灯だけでした。
のちに,このタイプの前照灯に改造されました。


この前照灯に装着されていた電球の口金には,
“37.5 チヨダ”と記されています。
1962年/昭和37年5月 チヨダ製造と読めます。

この前照灯は,
電球の製造年である1962年/昭和37年以降に,
クハ151-1から外されたと推察されます。

1968年/昭和43年の山用・横川-軽井沢改造では,
中央線トンネル断面の制限から
運転室上の前照灯が取り外されましたが,
電球の製造年から,
このときに外されたと推察するには疑問があります。

可能性としては,九州乗り入れ改造時に,
取り外されたとも推察されますが,
その記録は見当りません。
●クハ151-1の履歴
車番 年月 項目 配置
クハ26001 1958/9 製造 川崎車輌 田町
1959/5 改造
クハ151-1 1959/6 改番
1959/10 改番出場
1960/3 改造 大井工場
1961/9 力行表示灯取付 大井工場
1964/5 九州乗入れ改造 浜松工場
1964/9 転属 向日町
クハ181-1 1966/5 改造・改番 吹田工場
1968/10 転属 田町
1968/10 山用・横軽改造 大井工場
1969/7 転属 新潟
1973/9 転属 長野
1976/1 保存 川崎重工 神戸

 クハ151-1は,
 1959年/昭和34年,1回目の改造を受けました。
 1960年/昭和35年,2回目の改造を受けます。
 このとき,前照灯両脇に予備笛が増設されました。

 1964年/昭和39年に,九州乗入れ改造を受け,
 山陽特急に運用されました。

 1966年/昭和41年に,4回目の改造を受け,
 クハ181-1に改番されました。

 1968年/昭和43年に,
 山用・横川−軽井沢改造を受けて,
 上越線 “とき”に運用されました。

 1973年/昭和48年には,長野に配置され,
 信越線 “あさま”に運用されました。

 1976年/昭和51年に廃車になり,
 川崎重工・兵庫工場に静態保存されています。